【日 時】1999年6月19日(土)18:00開演
【場 所】ととや(神奈川県中郡大磯町)
【主 催】ととや(主宰:井村 忍/企画:井村 隆)
【協 力】喜劇映画研究会
会場の「ととや」は立体造形作家・井村隆氏が奥様と経営する、美術と音楽のワークショップにして「発明料理」のお店。イベント名にある「カラクリン」とは、井村氏の創作するオブジェ群の総称で、今回の上映会は井村氏の立案によるものなので、このタイトルを冠した。オブジェ「カラクリン」は鳥や魚などをモチーフにした、機械仕掛けの乗り物型アートで、素通しになった本体の中で歯車やゼンマイといった「からくり」が回る様は、ジュール・ヴェルヌの小説に登場する飛行船や潜水艦、あるいはレオナルド・ダ・ヴィンチ発案の飛行機械を思わせる。今回の企画は、これらのオブジェが持つギミックな印象と、古典喜劇映画が持つある種メカニカルな感覚が合致するのでは?という発想から始まった。
企画が進むにつれ、最初は映画の上映のみという計画が、当会で活動中の弁士MINAによる活弁付き上映という形に発展し、最後に音楽家・谷川賢作氏がフジマルヒデミ氏を伴って緊急参戦した結果、「夢の森にて」の嫡流イベントとなった。従って演出意図としては「夢の森にて」と同じ「古典喜劇のけれん味とライブの醍醐味の合体」であるが、会場の「ととや」が飲食店でもあることから「ほろ酔い上映会」を謳うこととなった。
当日は、そぼ降る雨の中を40名もの観客が集まり、出演者との密接なコミュニケーションを楽しみつつ大いに盛り上がった。上映作品はオブジェ「カラクリン」を強く意識して選定されたものであるが、井村氏が今回上映された映画に登場するキャラクターを新作「カラクリン」で再現して店内にディスプレイしたことから、映画とオブジェとの間の呼応がより一層深まった。
本番終了後には五十嵐あらし氏(シンガー・ソングライター)、中西文彦氏(ラテン・ギター)、園田周子さん(和太鼓)、小沢美保さん(笛)も参加しての超絶アンプラグド・ディナーショーとなり、当会が撤収した後も朝になるまで盛り上がっていたらしい‥‥。
余談ではあるが、現在活躍中のライブ・パフォーマー「明和電機」は井村氏の信奉者とのこと。その昔、『井村隆カラクリン展』を開催していた会場の駐車場整理のアルバイトだった「明和電機」のメンバーが「カラクリン」にインスパイアされ、それが現在の創作活動に繋がったのだそうである。こうした逸話を証明するがごとく、今回のイベントには多くのアーティストが来場し、井村夫妻の人望に改めて感じいった次第である。